ブックタイトル第11回 大阪学術大会論文集

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概要

第11回 大阪学術大会論文集

メディカルハイドロバッグをもちいた関節整復PVL(脳室周囲白質軟化症)患者の著効した一症例について抗重力筋への加圧トレーニング上がった。上肢運動機能も正常化し、負荷運動もできるようになった。斜視も改善傾向。この時点で6大関節のROMは足関節と体幹部、股関節開排運動を除いて正常になっている。MMTも下肢上肢体幹いずれも向上した。施術開始6ヶ月図8これと並行して、抗重力筋を中心に加圧トレーニングを加圧ジムにて週に1度行った。自宅では四つ這い運動を積極的に行うように指示した。これにより、痙性麻痺が脳性のものだけでなく、関節の正常な発育発達に必要な要因が不足し、かつそこに外的要因が加わり、関節のアライメント異常が起きた結果、麻痺様症状が出現した可能性を考え、柔道整復師の業である関節整復において機能改善が認められるかどうかを検討した。■説明と同意今回の施術と論文の発表は、患者と患者家族からの同意と積極的な協力により進めた。■結果施術開始3ヶ月図106か月経過時:痙性麻痺の状態がさらに緩和した。体幹支持の安定により、座位保持も安定し、通常の椅子に体幹部を支えて座り、上肢での作業ができるようになった。起座動作は術者が大転子をサポートすれば自力で椅子から立ち上がることができるようになった。立位保持は術者が女児の大転子部を軽く把持すればできるようになり、膝関節の動きでバランスしながら、上半身が大きく揺れても立ち直れるようになり、長い時間も可能になった。歩行は歩行器使用時のみ可能だが体幹部の安定と下肢のトーヌスの減弱で、左右交互の動きがスムーズにできるようになった。自宅では四つ這い移動のスピードも上がり、膝立ちによる体幹支持、寝返り動作など少しずつできるようになり、自分でできる日常生活動作が増えたことで、生活の自立度が向上した。関節部は足関節部を除いて可動域は正常。各関節も随意的に動かせる部位が増えてきている。図93か月経過時:痙性麻痺の状態が緩和し過剰な伸展反射や膝部、足部のトーヌスなどが減弱した。体幹支持は、自力で支えられるようなった。座位保持が可能になり、通常の椅子に体幹部を自力で支えて座れるようになった。起座動作はサポートすれば自力で椅子から立ち上がりが可能になった。立位保持は術者が女児の大転子部をしっかり把持すればできるようなったが、体幹部不安定から、上半身が揺れると立ち直れず、また、長い時間は支えられない。四つ這い移動は当初に比べ各段に速度が■考察PVLによる痙性麻痺は幼少のころの運動療法による成果が高い子供は回復の見込みが高く、年齢が高くなるにつれて回復の程度が鈍化するといわれている。PVL専門病院にてリハビリを続けていたこの女児の状態は、脳梗塞患者に確認される麻痺側の肩関節脱臼のような、麻痺後の外的要因により、関節捻挫、もしくは脱臼、亜脱臼により関節が異常をきたし、PVLの症状以外に痙性麻痺様症状を呈していると考えた。関節の機能異常であれば、麻痺という医科的な判断での対応ではなく、柔道整復師としての判断と、業である関節整復と運動療法という対応にて、関節機能を回復させることで、運動機能は改善すると考えた。34