ブックタイトル第11回 大阪学術大会論文集

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概要

第11回 大阪学術大会論文集

遠隔振動刺激がヒトの触2点閾に及ぼす影響Effect of weak remote vibrotactile stimulation on the two-point threshold in humans法を用いて検討し結果,無振動刺激時に比べ振動閾値の1.5倍の強度の振動刺激を加えた場合,2点閾は有意に減少した.以上の結果は遠隔部に与えた弱い振動刺激によって,触覚の改善が引き起こされることを示唆しており,確率共鳴によって触2点閾が低下したものと考えられた.そこで本実験では,健常者で手背部全体に加えた振動刺激により,広範な手掌部での2点閾の改善が生じている可能性について検討するため,さらに遠隔部である第2指尖端部での2点閾に及ぼす効果について調べた.■方法1.触2点閾の測定方法被験者は健常な右利きの男性6名(年齢20.3±2.16).2点閾測定はデジタルノギス(フリーダム,cw-80216m)に鍼灸鍼(セイリンディスポ鍼LタイプNO.4コイル状の鍼,柄直径0.20mm)を取り付けたもので行った.2.振動刺激の提示方法振動刺激の振動子はWiiリモコンを使用し,ソフト(Wiibrator)と, PC(WindowsXP)で制御した.振動計測には加速度センサー(Keyence)を使用し,その出力をA/D変換(MacLab,PC(MacOSX))し記録した(図1).振動刺激の提示方法擬似ランダムな順で提示した.振動強度の違いによる周波数特性を,高速フーリエ変換(FFT)を用いて調べた結果は150Hz付近にピークを持ち,分布に違いがなく強さは変化しているが周波数に変化はないことが分かった.また,振動刺激を与えない場合であっても振動刺激があり,コントロール群であるS0の振動分布とS1~S5の振動分布では波形に違いがみられたことからS0でのノイズを差し引いた上での振動刺激が150Hz付近でピークを示し,S0とS1~S5の波形に違いが出来ていることから振動刺激にバックグラウンドの保証があることが分かった. Wiiリモコン振動強度は机の間に置く包装用プラスチック緩衝材の使用枚数で強度変化をさせた.S0は無振動刺激条件をさし, S1~S2は5枚~4枚で0.75Vづつ変化が加わるようにしS3~S5は緩衝材3枚~1枚で0.25Vづつ変化させた.3.結果の処理2点閾計測データは,被験者間のベースラインを一定にするため,各被験者の2点閾を基準(1.0)として数値を正規化した.正規化されたデータは6条件の振動強度ごとに中央値(Me)±四分位偏差(Q)を統計用ソフトRを用いて計算,箱ひげグラフを作成し比較検討した.■結果緩衝材の枚数で測定した振動刺激の閾値は2.3±1.51(平均値±SD)であった.手背部に広く提示した振動刺激により,遠隔部である第2指DIP関節遠位部の指腹部での2点閾に変化が認められた(図2).第2指DIP関節遠位指腹部遠隔振動刺激の提示による2点閾の箱ひげ図(n=6)加速度センサーサンプリング=1kHzWiiリモコン図12点閾の測定部位は非利き手である左手を使用し第2指のDIP関節遠位部の指腹部で恒常法(各2点間距離を10試行を擬似ランダム)を用いて2点閾の測定をした.測定に用いた2点間距離は6条件(0.2,0.4,0.6,0.8,1.0,1.5mm)で,刺激時間は2sec.試行間間隔は3secとした.試行数は10試行で6条件(2点間距離)を,1ブロックに6試行で1セッション=10試行×6条件=60試行とした.振動刺激部位は机上に置いた手背部近傍に振動子を設置することにより,手背部全体に提示した.振動強度は6条件(無刺激,閾値の上下5段階;S0~S5)とし正1.2規化し0.8た2点0.4閾0.012345振動強度図2ボンフェローニの修正後の符号検定(片側)の結果S0とS2条件間に有意な差が認められ(※p=0.03125),S0とS3条件間では有意な傾向が認められた((※)p=0.0625).○印は外れ値.19