ブックタイトル第11回 大阪学術大会論文集
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第11回 大阪学術大会論文集
膝蓋骨横骨折の遷延治癒に対するアプローチ河井好照西成支部/河井整骨院■キーワード動的な安定、ピエゾ効果、綿花による圧迫■はじめに膝蓋骨横骨折(筋膜下骨折)は、保存療法においても比較的良好な結果が得られるも、骨癒合日数はColdwellによると6週間と記されており、一般では固定期間が3~5週間と長く、関節拘縮を誘発させることが懸念されている。保存療法においては膝関節伸展位での固定を約4週間行い、その後4週間のリハビリが必要である。観血療法においてはテンションバンドワイヤリング法が一般的で、完治まで3ヶ月を必要とすると報告されているが、臨床上では長期間のリハビリが必要となることが多い。同意医師に対診した結果、後方は癒合しており内部は一部癒合しているものの、表層は遷延治癒であると診断を受ける。このタイプの膝蓋骨骨折は何ヶ月もかかって骨癒合すると思われるとのことで、1ヶ月に1回X線検査を行い経過観察が必要であるとご指示を頂いた。平成27年6月19日■経緯今回の症例は、受傷後より約6週間を経過するも、表層の骨癒合が得られず遷延治癒の状態で、歩行時に膝崩れ現象が出現し転倒により再負傷することを懸念するあまり不安感が強く、やはり観血的療法が必要ではないかと悩み来院された。患者が悩んだ大きな理由には初診時の整形外科では観血療法を勧められたが、転医先では保存療法を選択されたこと。さらに6週間経過後にも他の病院を受診し、緊急に観血療法を行わなければ癒合しないと説明されたためであった。■症例45歳男性、平成27年6月18日受傷。神戸の路上にて転倒し膝蓋骨を直打し受傷する。翌19日に神戸の整形外科を受診し観血的療法を勧められるも、大阪市内在住で遠方なため紹介状を貰い近隣の整形外科を再受診し、ギプス固定による保存的療法を受ける。3週間のギプス固定の後にギプスを除去し、歩行訓練やリハビリを行う。骨折部が完全に癒合していないため、転倒しないよう留意するように説明を受ける。しかし歩行時に膝崩れ現象が出現し、転倒による再受傷を懸念し8月3日に来院する。来院時に膝蓋骨を上下・左右に滑動させ、中枢骨片と末梢骨片に対し位相差を確認するも現象を認めなかったため、何らかの状態で骨癒合していることを推察した。図1■経過平成27年8月3日(主訴)・膝蓋骨骨折罹患後の膝崩れ現象。・膝崩れによる再受傷の懸念と不安。(対応)・膝崩れは膝蓋骨骨折によるものではなく、膝関節伸展位歩行により出現していることを説明し、別々の処置を行う。平成27年8月3日図214