ブックタイトル第11回 大阪学術大会論文集

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概要

第11回 大阪学術大会論文集

最新・最速の柔道整復実技急性頚部障害の鑑別と治療法3頚部:前屈時陽性の場合、項靭帯中央部からC7にかけての障害が考えられるため、上記と同様に拇指を用いて同範囲の患部組織のリリースを行う。後屈時陽性の場合、C5/6・C6/7へのリスクも考え合わせてC3棘突起およびC6棘突起を前方に押し出すように押圧をかける。回旋時陽性の場合、各頚椎間関節の疼痛が明確であればその部の回旋筋・横突間筋群に上記AI-2を行うとともにC2棘突起を左もしくは右に頚部を回旋させつつ押さえ込んで行く。■結果それぞれのケースで著効が見られた。特に症状の程度に関わらず、いわゆる寝違えやギックリ首と言った急性のものほど回復スピードが早く、同時に不快感や頭痛などの自律神経性症状も解消される場合が多かった。■ポイント頭部のみの運動機能障害時には眼精疲労や頭重・頭痛などを伴うことが多いが、これは後頭下筋群の過緊張による二次的な自律神経症状であることが考えられる。後頭下筋群は無意識下の視野領域の拡張のために自動的に作用することがわかっているため、この部の緊張を取り除くことで前記症状の改善が見られることは必然であると言える。また、冷罨法もしくは温罨法の必要性は、急性症状か慢性ベース由来性の症状か、言い換えれば炎症が上昇段階にあるのか下降段階にあるのかもしくは全く発現していないのかによって決定される。さらに、過度の刺激は損傷組織にダメージしか与えない。牽引も不要な場合があるどころか時によっては増悪させる場合がある。確実性の高いインフォームドコンセントと徹底した指導管理などのリスクマネージメントを怠ると理想的な治療を加えても思うような効果は得られない。最近はスマホ症候群が多く見られ、ストレートネックのみならず頚椎後弯変形や頚椎側弯の症例も根底にある場合が多い。ことであるが、この検査法は症状レベルの深さと画像検査の必要性を示唆するであろうし、この治療法はその場で結果が現れるため指導管理がより効果的に受け入れられている。■考察上記理論を実践する場合、回旋障害を伴っている症状においては頭部のみ(=C0/1のみ)の損傷は考えられない。したがって、検査を行う場合には純粋な回旋動作が行われているかを見ることがポイントとなる。さらに、回旋時に頚部周辺の筋群に鈍痛感が見られる場合、それは同側部か対側部かを確認することも重要である。いずれの場合にも共通することは筋性症状か筋膜性症状かを鑑別することから始まる。筋性の場合には筋の伸長抵抗性の疼痛(=鈍痛)か、筋腱移行部もしくは付着部ポイントの断裂性疼痛(=鋭痛)か、もしくは収縮時運動痛か(=筋腹部の圧迫痛)、を確認して該当筋への適切な治療を行えば良い。本発表における頚部の症状に関しては急性炎症ベースで局所の発熱を伴うケースはまれである。すなわち、加冷による炎症熱の吸収はあまり意味がないばかりか、血管の収縮、損傷組織の過緊張を引き起こしかねないだろう。だからと言って、損傷組織に必要以上の加温は更なるダメージにつながりかねない。したがって、加温と言うよりも、保温を重視すべきである。結局、損傷組織の原状復帰にとって必要な1定位置への復帰2安静固定3血液循環促進の3条件はどの場合にも当てはまることであると言える。■プロフィールてらうち鍼灸整骨院/難治性疼痛治療センターてらうち院長ヒーリングテープ協会会長また、単なるムチ打ち症ではなく、スポーツ事故等でまれに見られるバーナー症候群が内在している場合があるので、神経学的検査は必須であることは言うまでもない。初検での症状鑑別と画像検査要請は患者本人にも施術者自身にも大きな岐路になるであろうことは当然の13