ブックタイトル第11回 大阪学術大会論文集

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概要

第11回 大阪学術大会論文集

最新・最速の柔道整復実技急性頚部障害の鑑別と治療法金田英寺貴内、尚柳三永善日整公認私的研究会柔整ひかり会藤井寺支部/てらうち鍼灸整骨院生野支部金田整骨院(金田英貴)/吹田支部みらい鍼灸整骨院(柳永善)■キーワードカップリングモーション、項靭帯、横突間筋群、後頭下筋群、AI-2、バーナー症候群■はじめに広義の頚部捻挫であるムチ打ち症や寝違えなど、数多くの急性頚部障害は二次的に腕神経症状や自律神経症状を呈することが多いことに加え、頭部の支持力低下は日常生活において相当な苦痛を伴うことになる。したがって、臨床では症状緩和の緊急性が要求される代表的な傷病と言えるのではないだろうか。とがわかっている。ここで重要なポイントは、屈伸・回旋ともに頭部のみの動作での障害であるか、頭部と頚部を伴った動作での障害であるか、頚部のみの動作での障害であるかを十分に考慮に入れた検査と治療を行う必要がある。■検査法1頭部のみのテスト:C0/1(環椎後頭関節)で行われるが、このレベルでは、前屈は顎を軽く引く動作、後屈は顎を軽く突き出す動作で検査する。また、左右回旋はC0/1間では行われない。今回の発表は頚椎間関節の運動機能的役割から分析した鑑別法と手技による治療法である。論理的には、画像検査の必要性を感じられないと判断できる機能的症状においてはその発生プロセスと逆コースを辿ることが最も早く、最も確実に原状復帰ができると言えることから本法が必然として生み出された。画像検査至上主義の現代医療状況において主訴を中心に戦略と戦術を立てる患者サイドに立った医療を提供することが我々の真の責務である。その上でも本法は柔道整復師がその本領を発揮できる治療スキルであると思い至ったものである。頚椎の動きは言うまでもなく矢状面における屈伸運動、水平面における回旋運動、前額面における側屈運動の組み合わせであるが、側屈時には必ず回旋を伴うというカップリングモーションの存在のため、どの動き(=機能)が妨げられているのかは屈伸(前屈・後屈)と回旋(右回旋・左回旋)の自由度を検査することで判別可能となる。屈伸を考える場合、頭部を支えるC0/1・C1/2関節、体幹との基軸になるC5/6・C6/7関節、屈伸の中心的役割を担うC2/3・C3/4・C4/5関節に機能分類して考えてみる。この運動での負荷は生理的な頚椎前弯が少ないほどそれらの関節、特にC2/3関節のしなるような動きが制限され、同時にその反動がC5/6・C6/7関節にかかって来ることが推測できる。回旋を考えた場合、その40%がC1/2関節で行われ、残りの60%が他の頚椎間関節で受け持たれるというこ2頭部・頚部を伴ったテスト:前屈時は顎を最大限に引きつつ頚部を前屈する動作、後屈は顎を最大限に突き出しつつ頚部を後屈する動作で検査する。3頚部のみのテスト:前屈・後屈ともC0/1での動きを見ないように顎先と頚部軸との距離を保ったまま検査する。■治療法1頭部:前屈時陽性の場合、ズキッとした電撃様の疼痛を伴う場合が多い。項靭帯の外後頭隆起への付着部での問題(主に付着部靭帯の過緊張)が発生していると考えられるため同部近位に軽く指で押圧を継続し、疼痛が消失するまで持続する。この時の圧は同一方向・同一圧でなければならない。また、圧力についてはリラックスできる限界で圧迫痛を緊張なく我慢できる程度とする。この方法(AI-2)についての理論は省略するが、これにより過度な緊張を緩和させるとともに周縁の毛細血管の圧迫開放を見ることができる。後屈時陽性の場合、C0/1のインピンジメントにより発生する関節内圧の上昇が考えられるため、頭部を軽く上方に持ち上げることで環椎後頭関節隙を拡張させる。2頭部+頚部:前屈時陽性の場合、項靭帯中央部からC0にかけての障害、最も多くは項靭帯とそれに隣接する軟部組織との癒着が考えられるため、拇指を用いて患部組織のリリースを行う。後屈時陽性の場合、C2/3の動きを促通する目的でC3棘突起を前方に押し出すように押圧をかける。12