ブックタイトル第10回 大阪学術大会 論文集

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概要

第10回 大阪学術大会 論文集

高校女子サッカー選手に発生した大腿骨頚部疲労骨折の2例■考察1)病態股関節周囲筋、特に中殿筋の疲労により股関節外転筋力が低下すると、大腿骨頚部に加わるストレス分布が変化し、拮抗していた大腿骨頚部の牽引力が増加する(図3a)。また、中殿筋のショックアブソーバーとしての機能が低下し、大腿骨頚部へ直接衝撃が加わる。あるいは、筋疲労により歩容に影響し、体重の中心位置が変化し、大腿骨頚部へのストレスのパターンが変化する1)。ここに、大腿骨の機能軸(mechanical axis)と解剖軸(anatomical axis)が一致しない(図3b)という解剖学的特殊性が加わり、頚部上方には牽引力が、頚部下方には圧迫力が作用し(図3c)、本骨折が発生すると考えられている2)。Pentecost 3)は広義の疲労骨折(stress fracture)を、正常な強度を有する骨に非生理的な頻度で反復する外力が加わったことにより発生する狭義の疲労骨折(fatigue fracture)と、主に老年に起こる脆弱性骨折(insufficiency fracture)とに区別している。過去の報告の中には、軽度から中程度、骨密度の減少していた上に、過度な労働や運動が加わったことで、本骨折が発症した症例もあり、fatigue fractureとinsufficiency fractureの中間型の存在と指摘しているものもある4)。自験例では2例とも生理不順を認めたため、骨量減少を疑い対診精査を依頼したが、どちらも異常所見を認めなかったため、スポーツ活動によるfatigue fractureであったと考えられる。図2 c図2dT1:前額断T2:前額断T1:水平断T2:水平断1週後X線画像にて左大腿骨頚部下方に骨膜反応を、MRI画像にて同部に輝度変化を認めた。5週経過時X線画像:大腿骨頚部下方に仮骨形成を認めた。図2e48