ブックタイトル第10回 大阪学術大会 論文集
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第10回 大阪学術大会 論文集
高校女子足サッカー関節果部選骨手折に(SEF発生したStage大腿Ⅱ)の骨頚保部存疲療労骨法折の2例~整復法・固定法のポイント~棚原勝平、清水大地、中田安季子、幸田浩之、中松優、平沢伸彦樋口正宏住之江支部/平沢整骨院公益社団法人大阪府柔道整復師会東淀川支部■キーワード大腿骨頚部疲労骨折、compression type、transversetype脱力感を覚えた。その後も同部に脱力感を覚え、独歩困難のため松葉杖をつき帰宅した。ほぼ毎日2.5時間の練習量であった。8月13日、当院を受診した。■Abstract症例は女性2例で、年齢は17歳と18歳であり、同じ某強豪高校女子サッカー部の選手であった。2例とも利き足は右足であり、罹患側は利き足側1例、非利き足側1例であった。婦人科疾患や骨粗鬆症は認めなかったため、原因はスポーツによるものであると考えられた。BMIはそれぞれ22.9、21.7であった。骨折typeは2例ともDevasのcompression type、宮川のstage分類では、早期から中期と考えられた。どちらも保存的治療を行い、良好な結果が得られた。競技復帰後は疼痛の再発はなく、経過良好である。本骨折は、骨折typeにより予後が大きく異なるとされている。compression typeは発見までに期間を要するが、予後は良好とされている。一方、transverse typeは診断が比較的早く行えるものの予後不良とされ、手術適応があるとされている。よって、発症早期に骨折typeを含めた確定診断を得ることが重要である。股関節部周囲の愁訴を訴えるアスリートは非常に多い。その中には、本骨折を内在している可能性がある。一定期間経過観察していても、股関節部周囲の愁訴に変化を認めない症例では、本骨折を念頭に入れ、整形外科への精査および対診依頼し、医接連携のもと治療に当たる必要があると考える。■はじめに大腿骨頚部疲労骨折の発生頻度は、全疲労骨折中0.4~5%と、非常に稀な骨折であるとされている。今回我々は、本骨折を経験し、文献的考察を踏まえた当院独自の治療方針を考案、実行し、良好な結果を得たので報告する。症例症例1:16歳、高校2年生、女子サッカー部、DF主訴:右股関節部の脱力感既往歴:特記すべきことなし身長:159cm体重:58kg BMI:22.9右利き現病歴:2014年8月9日、サッカーの試合中、ボールトラップしようと右股関節屈曲した際に、右股関節前面の初診時現症跛行を呈していた。下肢知覚と腱反射はNormalであった。MMTは右大腿四頭筋・腸腰筋が4であった。股関節運動痛は認めなかった。SLRは70°で陰性であった。PATRICK testは陰性であった。Hip anterior impingementtestは陰性であった。圧痛をスカルパ三角と下前腸骨棘に認めた。以上より右大腿直筋/腸腰筋付着部炎と考え、運動を中止し施術を開始した。しかし症状に変化はなく、他疾患との鑑別のため、8月26日、整形外科へ対診依頼した。X線検査にて異常所見を認めず、右大腿直筋および腸腰筋付着部炎との診断であった(図1a)。経過観察するも症状が改善しないため、9月11日、対診およびMRI検査を依頼した。X線検査にて右大腿骨頚部下方に骨膜反応を認めた(図1b)。またMRI検査にて同部にT1 low、T2 highの輝度変化を認めた(図1c)。画像所見より、右大腿骨頚部疲労骨折と診断された。typeはDevasのcompression type、stageは早期から中期と考えられた。保存療法適応と判断し、リハビリテーションを開始した。荷重は部分荷重とした。経過8週経過時のX線画像で、大腿骨頚部下方に骨折線を認めた。また大腿骨頚部の上方、下方に骨硬化像を認めた(図1d)。9週経過時のCT画像で、大腿骨頚部上方と下方に骨折線を認めた。骨改変による骨折線であると考えられた(図1 e)。12週経過時のX線画像で、大腿骨頚部の下方に仮骨像を認めた。完全荷重を許可した(図1f)。生理不順を認めるため婦人科を紹介したが、異常所見は認められなかった。16週経過時、全体練習に合流した。2016年6月現在、症状の再発はなくサッカーを続けている。競技休止期間は約4か月間であった。44