ブックタイトル第10回 大阪学術大会 論文集
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第10回 大阪学術大会 論文集
中学生の野球肘に対する有効的な投球フォーム指導についてここで特に注目すべき点は、投球動作に習熟してくると、主な出力源を肘伸展から肩内旋に移行するという点である。この移行時に陥りやすいのが「肘下がり」という現象である。また、肘伸展動作が優位に残ってしまった場合に生じやすいのが「肘突き出し」という現象である。どちらの場合においても、肘関節にかかる外反ストレスを増大させることが分かっている9)10)。ることも分かっている12)。(表2)肘関節角度と外反動揺性の関係投球相の分類とその特徴投球相の分類は、投球開始から非投球側膝の最高到達点(balance point、以下BP)までをwind up、BPから脚接地(foot contact、以下FC)までをearly cocking、FCから投球側肩関節最大外旋位(maximum externalrotation、以下MER)までをlate cocking、MERからボールリリース(以下BR)までをacceleration、BRから投球終了までをfollow throughの5相に分けたものを用いる。(図3投球相の分類)投球開始時から肩関節内旋かつ前腕回内し、その後、MERまで肩関節外旋かつ前腕回外し、MERを始点に再度、肩関節内旋かつ前腕回内する。このような一連の動きの中で、肩関節内旋筋群や前腕回内屈筋群のSSCを利用し、各関節の角速度の上昇、ひいては球速の上昇を促している。しかし、肩関節外旋位から肩関節内旋する際には、肩関節外旋と前腕回外の慣性モーメントが生じている中で肩関節を内旋させるため、結果的に肘外反ストレスが生じる。投球動作において、この肘外反ストレスはMERの直前にピークを迎え、その瞬間の外反ストレスがもっとも大きくなるのは肘関節90°屈曲位の時であるという報告がある11)。また、この外反ストレスに対抗するための肘関節内反トルクはMER時にピークを迎え表2肘関節の解剖学的特徴肘関節の安定には、受動的安定化機構と能動的安定化機構の二つがある。前者には、骨同士の接触や関節包、靭帯などの非収縮性組織が含まれる。関節面による安定は屈曲最終域と伸展最終域において影響を受ける。しかし、関節包においての安定化作用はほとんどなく、肘関節8 0°屈曲位でもっとも弛緩するということが分かっている13)。さらに、肘外反ストレスに対しての安定化作用が強いと言われている内側側副靱帯においては、前斜走線維が肘関節伸展位で、後斜走線維が肘関節屈曲位で、緊張して抵抗している。後者には、収縮性組織である筋があり、肘関節をまたぐ様々な筋が影響を及ぼしている。それらの筋のなかでも、肘関節内反トルクとして貢献している筋は、円回内筋、浅指屈筋、尺側手根屈筋、橈側手根屈筋、長掌筋などの前腕回内屈筋群である。さらに細かく見ると、尺側手投球相の分類図341