ブックタイトル第10回 大阪学術大会 論文集
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第10回 大阪学術大会 論文集
中学生の野球肘に対する有効的な投球フォーム指導について年齢別障害部位の先行研究では、多くの調査が行われており、様々な調査結果が報告されている。ある調査結果の統計を見ると、小中学生の障害部位では肘関節が大半を占め、高校生になると肩関節が増加してくることが分かる1)。また、別の調査結果においても、小学生から中学生にかけて肘関節に痛みを有する選手の割合が高くなり、それ以降は肩関節に痛みを有する選手の割合が高くなる2)。中学生期の野球肘の直接的な原因としては、投球フォームの乱れや無理な姿勢での投球が挙げられるが、根本的な原因としては投球フォーム未習熟や筋柔軟性不足、練習量増加などが考えられている3)4)5)。投球動作の発達過程分類投球動作の習熟は、6つのstageに分けることができる。(図2)投球動作の発達過程分類発達1発達2発達3年齢別野球肘内側型の病態発達4発達5発達6図2発達1:肘関節伸展のみの動作(左上図)発達2:肩関節の運動を伴う上肢全体の動作(中上図)発達3:肩関節の運動に体幹回旋を伴う動作(右上図)発達4:投球と同側ステップ動作を伴う動作(左下図)発達5:投球と反対側のステップを伴う動作(下中図)発達6:テイクバックを伴う動作(右下図)投球動作の発達過程分類において、最初の発達過程で肘伸展を中心とした腕の振り、次の過程で肩関節を中心とした上肢全体の動きが加わり、その後の過程で体幹の回旋や非投球側のステップが加わる。このような発達過程になるのには理由があり、年齢ごとの発育特徴が関係している。小学校低学年までは神経系の発達が活発なため、使用する関節の数を増やし、さらにその各関節を協調させることによってパワーを生み出す。小学校高学年以降は骨成長や筋力増大によって各関節のトルクを増大させ、よりパワーを向上させる7)。図1さらに、年齢と病態の関係性に注目すると、中学生期においてもっとも発生しやすい野球肘の病態は上腕骨内側上顆骨端線離開であることも分かっている6)。これらの投球動作習熟度と投球障害部位を比較した時、小中学生では肘関節と肩関節の複合的な動きが不十分となり肘関節障害が生じ、高校生では肩関節と体幹の連動性が不十分となり肩関節障害が生じやすいことが分かっている。また、高校生において体幹・下肢が十分に機能しない場合、肩関節や肘関節に加えて腰部にも障害が多くなることも分かっている8)。40