ブックタイトル第10回 大阪学術大会 論文集

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概要

第10回 大阪学術大会 論文集

メディカル・ハイドロバッグを使用した整復とコンデイショニングえない現象である。施術者は詳細な問診、触診、視診等を駆使して外力の作用を同定し施術に当たる必要がある。では、関節の損傷を考えた場合、関節の転移の方向は前後、左右、長軸方向への離開、軸周りの回転の4方向が考えられ、実際にはこれらの複合で起きると考えられる。(図5)全周圧による整復パスカルの原理を応用関節転位のパターン図6関節形状による潤滑と自重整復前後方向左右方向長軸方向軸周りの回転多くはこれらの複合と考えられる軸圧によって関節内圧が高まり潤滑が達成されると自動的に関節形状に沿った形で偏移が整復される図5関節機能を回復させるためには関節の整復が不可欠になる。ここで言う整復とは生理運動軸の整復(位置的整復)と潤滑の再生である。整復の考え方としては、大きく2種類に分かれると考える。潤滑不全図7一つは関節の転移方向、転移量を正確に把握して相対する方向に力を加えて整復する方法である。しかし、関節転移の量は僅かであり、それらを正確に判断し、正確な量の応力を加えるには高度な技術が必要であり、診断や技術的な誤りがあればかえって関節を損傷させる恐れがある。また、技術的に難易度が高いために他の術者による再現性にばらつきがある。脊柱椎間関節の整復も片側の浮上転移に対し転移側の椎間関節を押圧すると逆側の椎間関節が浮上し安定性を欠くことになる。この場合も流体圧で両側の椎間関節を同時に同圧で押圧することにより整復が可能である。(図8)もう一つはパスカルの原理を応用し関節全周に非圧縮性の流体圧を加え整復する方法である。まず、全周圧を加えることで前後、横方向の転位を除去する。次に長軸圧を加えることにより軸方向の離開転位と、軸周りの捻れを除去し、同時に関節の潤滑を再生する。この方法であれば、全周圧がかかるために、診断が不詳であっても施術でき、整復不全や、過剰整復を起こすことも少なく、安全に施術できる。また、前述の方法より他の術者の再現性もはるかに高い。(図6、7)右の椎間関節の浮上に対し、右だけを押圧すると左側が浮上する。整復には両方に均等圧が必要図8また筋組織においても筋繊維の層の乱れや、滑走不全が原因であると考えると筋膜内の圧力を上昇させて等圧化を図れば筋の層構造の整復や潤滑の再生による筋34