ブックタイトル第10回 大阪学術大会 論文集
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第10回 大阪学術大会 論文集
第2趾基節骨斜骨折の固定法を考察し工夫した1症例~伸縮性テーピングのみで骨折部に回旋と牽引力を加える方法~(5月26日X線像)確認のためのX線像。図16■結果手指の運動メカニズムでは、屈曲時にはPIP・DIP関節で回旋し指先が舟状骨結節に集まることは周知のことである。回旋応力をかける方向で骨軸がズレたり揃ったりすることから、足趾も手指ほどではないにしても屈曲時や伸展時に、回旋力が働いていることが推察できた。本症例の体験と上記のことから、螺旋骨折だけではなく斜骨折も回旋転位が内在していることが示唆された。また、他趾の骨折に関してはこれからの研究課題であると考えている。(約1年後の外観)健側に比べやや短縮傾向は否めないが、機能障害等は認められず、キックボクシングを継続している。図17■結語足趾や手指のPIP・DIP関節での回旋の運動メカニズムは、趾(指)単独で発生しているのではなく中足骨頭・中手骨頭のアーチ構造と連動して行われる運動であることが推察された。したがって足趾や手指の骨折では骨折部だけに捉われず、中足骨頭・中手骨頭のアーチの獲得が重要な課題であることが示唆され、足部全体の機能を考慮することで強固な固定をしなくても動的に安定することがうかがえた。■考察螺旋骨折は回旋転位を残すことで骨軸が揃わず、骨癒合が得られないことや変形治癒することは周知のことである。しかし私は斜骨折も回旋応力によって発生するのではないかと思索していたため、本症例に回旋応力を加えるテーピングを迷わず施行した。受傷直後に間違って逆の回外応力を加えたことにより骨軸の傾きが大きくなり、回内応力を加えたことにより骨軸が揃ったことからも、やはり斜骨折も回旋応力によるものであることを示唆していると推察する。また第2趾基節骨の斜骨折であったため、整復操作を行っても整復位を保持することが困難であると考え、伸縮性テーピングによる持続牽引法を模索し、支持性の強い母趾を利用できたことも功を奏した要因ではないかと考える。他趾の場合は支持性が弱いため、同様の結果が得られたかはこれからの課題である。さらに骨折部底側での段差に対し、足底横アーチの突き上げと荷重をすることで骨折部断端の接近を試みたが、X線写真からも突き上げ応力が弱かったことは否めない。■参考文献標準整形外科第10版国分正一、鳥巣岳彦監修医学書院柔道整復学・理論編改訂第5版全国柔道整復学校協会南江堂2012年柔道整復学・実技編改訂第2版全国柔道整復学校協会南江堂2012年図説整形外科診断治療講座足・足関節疾患室田景久、白井康正、桜井実、三好邦達メジカルビュー社1991年足の診療ガイドブック高倉義典南江堂2001年31