ブックタイトル第10回 大阪学術大会 論文集
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第10回 大阪学術大会 論文集
Effect of vibration on the two-point discrimination threshold遠隔振動刺激が触2点閾に及ぼす効果実験で用いた5段階の振動刺激(n = 12)図3これら5段階の強度の振動刺激を加えた場合の2点閾の変化に関しては,閾値近辺の弱い振動刺激(S3,S4)を加えると無振動刺激時に比べ,2点閾が低下した.一方より大きな強度(S5),あるいはより小さい強度(S2,S1)では,2点閾は変化しないか,あるいは逆に増大した.統計的解析の結果,無刺激時に比べ閾値の1.5倍の強度の振動刺激を加えた場合(S3),2点閾は有意に減少した(ボンフェローニの修正後の符号テスト,p=0.021)(図4).よって試行回数は10回で,信頼性のある測定値が得られることが分かった.2)Collins 4)5)は,健康な若者の中指尖端に閾値下のノイズを与えると触感覚が強化されたことを報告し,ノイズの特定レベルを導入することでヒトの触感覚を強化することも減衰させることもできることを証明した.実験2の結果も,閾値近辺である弱い振動刺激(S3,S4)を加えると無振動刺激時に比べ2点閾が低下した.この結果から,正常成人でノイズを付加することにより2点閾の改善が認められることが分かり,またノイズの効果は,ノイズが強すぎても弱すぎても効果は消失し,適度なノイズレベルが存在することが分かった.以上の結果は,ノイズとして振動刺激を用いた場合,ヒトの触覚においてSRが生ずることを示唆している.3)振動刺激の提示法はKuritaら10)の研究のように,局所的に振動を与えその近傍部位での2点閾の変化についての検討が行われてきた.しかし本実験では手背部全体に加えた振動刺激が遠隔部である第2指手掌部での2点閾に及ぼすことが示唆できた.簡便で広汎な部位の刺激でも効果が実証できたことは,振動刺激の実用化あるいは臨床への応用を考えた場合,非常に有用な結果が得られたと考える.振動刺激の提示による2点閾の変化(n = 1 2)(*:P<0 . 0 5)■結語本研究では,振動刺激が触2点閾に及ぼす影響を検討し,無振動刺激時に比べ閾値の1.5倍の強度の振動刺激を加えた場合,2点閾は有意に減少することが明らかになった.また遠隔部に与えた振動刺激によってもSRが生じ,触覚の改善が起こることを証明できた.今後は,他の感覚刺激との比較についても研究を進める予定で,刺激提示方法の変更による影響や痛覚閾値への応用なども視野に研究を進めたい.図4■考察1)予備実験として施行した実験1の結果から,従来の秋田ら11)の報告通り恒常法が最も正確で精度が高いことを支持できることが分かり,恒常法で若干ではあるが結果が異なる可能性のあることが示唆できた.また,恒常法は複数回提示が必要で時間がかかるとの欠点が知られているが,恒常法の試行回数の比較結果から,試行数のグループ間に有意な差がないことを示せた.■おわりに柔道整復学の構築や柔道整復独自のガイドラインをとの論議があるが,その実現のための基本となるのは,その分野でその分野の人間がどれだけ基礎研究や臨床研究を発表しJ-STAGE等に掲載されているかが必須条件である. PubMedにアクセプトされている柔道整復の論文掲載数は,1961年から始まり2014年までで1,002本となっている.鍼灸分野に関する論文は,1827年から掲載が始まり211,598本の論文が掲載され,理学療法分野では1910年から2014年までで227,929本の論文が掲載されている.単純計算で,柔道整復と比較して鍼灸分野は21倍,理学療法分野は227倍という現状である.22