ブックタイトル第8回 大阪学術大会論文集
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第8回 大阪学術大会論文集
青壮年における驚愕反応が及ぼす快および不快情動の影響mean %PPI先行刺激の色がPPIに及ぼす影響--図62実験中に引き起こされる「慣れ」によるもの実験は嫌悪刺激として20回音が鳴る、それを2セッション行い、合計40回行うことになる。実験の中でも最初の嫌悪刺激では反応がしっかりと出ていたが、2回目のセッションでは反応が1回目のセッションより小さかった。これは慣れからくるものであると考える。これは中性刺激のみならず、全体に働くと考えるが、報酬刺激と負の情動価をもった先行刺激よりも、被験者の認識が甘く、先行刺激抑制の働きが弱まったと考える。また、上記の仮説で中性刺激が上手く機能しなかったといえる。色別に分けた群では有意差が認められなかったことから、色自体が先行刺激抑制として働かなかったことが示唆される。これは、赤・緑・青のみを今回採用したので、他の多種な色を先行刺激抑制として用いた際にどのような反応を示すかは、今後も実験を重ねていくべきだと考えられる。嫌悪刺激として用いた負の先行刺激群は、報酬刺激として用いた陽の群よりも反応が大きく(0.67)、報酬刺激として情動価をもった陽の先行刺激群では負の情動価を持った群より反応が小さく(0.62)、先行刺激抑制としての機能が働いたと考えられ、それは統計処理からも見て取れる。無表示群、何もモニターに表示がされない群では、嫌悪刺激よりも反応が大きく(0.71)、これは嫌悪刺激として働いた音が鳴る直前に先行刺激として色がモニターに表示されなかったので、報酬刺激・負の情動とは別に色が表示されないという色自体が持つ先行刺激がなかったので、さらに大きな反応が検出されたと考える。ここまでは、実験前に立てた仮説通りであったが、中性刺激の情動価をもった群が最大の反応(0.72)となった。色自体が持つ先行刺激抑制が働いていないことがデータから読み取れる。なぜ、先行刺激抑制として働かなかったのか、それは次の通りに考えられる。1中性刺激の情動価としての認識の相違実験を行う前に同意書に各色がもつ得点を記載しており、報酬刺激として働く色、負の情動価を持つ色、無表示、中性刺激の情動価をもった色、得点でいえば無表示と中性刺激は同じ点数となり、被験者の中では無表示と同等の立場と考えられたことから、無表示(0.71)とほとんど同じ反応の大きさとなったのではないかと推測される。本実験で報酬刺激として、働く効果が導き出されたが、報酬を変えれば、また違った結果になると考えられる。例えば、今回採用したお菓子の詰め合わせではなく、仮に5万円を報酬に置き換えたとすれば、違った結果になると考える。被験者が欲しい、より望むものを報酬にすれば先行刺激抑制としてより大きな結果が得られると考えられる。以上のことから病院や接骨院において、小さい子供に施術前にお菓子を与えるということは非常に先行刺激としての有効な役割を担っているといえる。■結語実験を通して、報酬刺激が先行刺激抑制として働くことが証明された。今回の実験では音での嫌悪刺激を採用したが、嫌悪刺激を光や痛み刺激に置き換えて実験を重ねていきたい。また、報酬刺激の内容を変更すれば更に、大きな抑制にもなると推測される。この先行刺激抑制をさらに研究していき、臨床の場での有用に繋がればと考える。■謝辞本論文作成にあたり、厳しくも優しく指導していただきました大阪府柔道整復師会専門学校専任教員佐々木仁先生に心から感謝いたします。■引用文献1)Tanaka, M.(2013)情動,afro.s268.xrea.com-concept.cgi.2)Lang, P. J. Bradley, M. M. andCuthbert, B. N.(1990)Emotion, attention, and the startle reflex.Psychological Review, 97(3): 377-395.3)Vrana, S. R., Spence, E. L., and Lang, P. J.33