ブックタイトル第8回 大阪学術大会論文集
- ページ
- 28/46
このページは 第8回 大阪学術大会論文集 の電子ブックに掲載されている28ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは 第8回 大阪学術大会論文集 の電子ブックに掲載されている28ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
第8回 大阪学術大会論文集
高校生の運動実施者と非実施者におけるレジリエンス尺度の比較と評価~運動内容に着目して~三ツ山尚杜大阪府柔道整復師会専門学校■キーワードレジリエンス、スポーツ、高校生、運動内容■はじめにレジリエンスは「困難で驚異的な状況に、うまく適応することができる能力、過程、結果」と定義されている(Masten,Best and Garmezy,1990)。■本研究の背景現代は目まぐるしく激変するストレス社会であり、それに直面して、もがいている人は少なくない。そのような人々に求められるのが、逆境を乗り越えて元の精神状態に立ち直ろうとする力すなわちレジリエンスである。このレジリエンスは質問紙法によって測定できることが知られている。その代表的な方法の一つとしてS-H式レジリエンス検査が挙げられる。この心理検査は、事業所及び各種教育機関において広く実施されており、採用・進学指導などに利用されている。この検査は、生きる力の主要な要因である、対人関係、自己達成可能感や、協調性、問題解決能力についての内心と行動のバランスを調べて、より健全な生活を送るために役立つものである。一方でスポーツというものは、緊迫している場面でも平常心を保ちパフォーマンスを行うことが求められるものである。また、日常的に身体や精神にストレスのかかるトレーニングに取り組んでおり、しんどいながらもやり遂げている。スポーツの世界において、敗北や失敗をしても、それを糧としてより多くの努力を積みリベンジを果たすことがある。また、怪我やスランプに陥った選手が、それを克服して活躍することがある。これらのスポーツの特性が、「逆境をむかえても乗り越える能力」とあるレジリエンスに共通していることに着目した。先行研究では、木村らが、スポーツにおいて集中力を高めることはレジリエンスの向上につながると報告している。そこで、“スポーツ活動が「レジリエンス」に影響を与えるのではないか”という仮説を立て、研究を行うこととした。■本研究の目的先行研究においては、比較対象を大学在学のスポーツ選手としている。そこで本研究では、部活動で体罰問題が多々見受けられる近年において、スポーツによるレジリエンスの向上が認められれば、競技者のバーンアウト・ドロップアウトの防止ならびにメンタルヘルスの保持・増進の貢献につながることを目的として、高校生を対象に研究を進めることとした。■方法研究対象は、近畿圏内の高等学校に通う高校3年生188名(男子79名、女子108名、無回答者1名)を対象とした。研究実施時期は、2013年12月に講義時間の一部を利用して集団で行った。調査方法は、無記名自記式による質問紙調査で行った。調査内容は、レジリエンスに関してはS - H式レジリエンス検査(Sukemune-Hiew Resilience Test)を使用し、運動内容に関しては運動(スポーツ)に関するアンケートを使用して調査を行った。(表1)運動(スポーツ)に関するアンケート項目「はい」又は「いいえ」の二者択一回答で実施1.性別はどちらですか。2.定期的にスポーツを行っていますか。3.定期的に行っているスポーツは集団競技ですか、個人競技ですか。4.定期的に行っているスポーツは部活動ですか、部活動以外ですか。5.自主トレーニングを行っていますか。尚、自主トレーニングには走り込みや筋力トレーニングも含みます。6.行っている部活動もしくはスポーツに楽しんで取り組んでいますか。表1S - H式レジリエンス検査でのレジリエンス得点はA~Cの3つの因子から構成されている。Aの因子は、家族、友人、同僚など、周囲の人たちからの支援や協力などの度合いに対する本人の感じ方をあらわしている。Bの因子は、問題解決を自分でどの程度できるかなどの度合いについての本人の感じ方をあらわしている。Cの因子は、他者との付き合いにおける親和性や協調性の度合いについての本人の感じ方をあらわしている。今回はこれら3つの因子の合計として得られる得点について解析を行い、各因子ごとの解析は行わなかった。判定方法は、27項目の各質問文をよく読み、自分の25