ブックタイトル第8回 大阪学術大会論文集

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概要

第8回 大阪学術大会論文集

柔道形の投げ動作における初心者と有段者の動作解析■結果5図11-1は先ほどの前傾した際の正規化グラフで、図11-2は動作のスティックピクチャーである。図11-1を見ると、初心者群は有段者群に比べ最大値が高く、最大値からの低下率が緩やかである。最大値からの低下率が緩やかなほど前傾姿勢を保持していることになり、時間がかかっていることがわかる。また、図11-2からも初心者群は前傾姿勢であることがわかり、体幹前傾の要因として頚部前屈が関与していることもわかった。図11-1上げる力にしようとしていることがわかった。前傾姿勢の最大値と差のグラフ、正規化グラフから頚部前屈が体幹前傾の要因としてあること、有段者群より前傾姿勢を保持している時間が多いことがわかった。これは、持ち上げ動作時に受の体重が頚背部に乗り、重心の動揺性が前方に増加することが、より前傾に拍車をかけ、前方に向かっている重心を後方に戻すのに時間がかかったためである。■まとめ1相手の体重を自分の肩に背負う肩車が、初心者ではうまくいかないのは、加速度と移動範囲、重心の移動の仕方に原因があることがわかった。講道館発行の「投の形」の教書、肩車における第2動の「取が受を引き出し前方に崩そうとする。これに応じ受は右足から一歩前進する」と説明されている。自護体の姿勢で受の崩れてくるところに右頚部を入れるところで初心者の動きは止まってしまい、勢いを止めてしまう。この受の勢いをうまく利用できずに体が前に倒れ、より担ぎ上げができない状態になることがわかった。肩車は形の種類でも動作が特殊で、打ち込みの練習のように行うことはできない。現在、研修試験財団が行う認定実技審査では担ぎ上げる動作までで一旦停止させ、そのまま降ろすといった方法で指導がなされている。図11-2■考察作業仮説通り、初心者群は有段者群に比べ動作に安定性がなく、受取とも動作がバラバラで加速度も遅く、投げ動作に移行することがスムーズに行えていないことが分かった。また重心、腰と膝の角度比較、正規グラフから初心者群は、膝角度の標準偏差が大きくバラつきが多くなってしまうため、不安定な体勢で動作を行い、有段者群より動作が遅くなっていることがわかった。頭上から見た重心のスティックピクチャーとリサージュグラフから、初心者群の重心軌跡は移動範囲が横軸に広がっていることがわかった。これは不安定な状態で肩車動作を行い、持ち上げることができない代償を足隔を大きくとることで補い、体幹の回旋力で持ち■まとめ2安全に練習を行うためにはまず、取の自護体姿勢の安定が何もよりも重要と考える。なぜなら、自護体が安定していれば受を引き出した勢いに取は負けずに支えきることが出来るからである。よって練習では自護体の動作を継ぎ足にて始める練習を行うことから取り組むとよいと考える。自護体では、膝を大きく曲げて腰を深く落とした時に上体が前傾しやすいため、基本となる練習をすることが肩車の第3動を行う際に、正面を自然に見て立ち、上体を畳に対して垂直に保とうとする意識を習得する効果が期待できる。(図12)23