ブックタイトル第8回 大阪学術大会論文集

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概要

第8回 大阪学術大会論文集

早期臨床実習が柔道整復教育に及ぼす影響~学生の職業的アイデンティティスコアの分析結果から~と同じ傾向を本校でも示した。しかし、平成25年度在学生においては、1年生と3年生で統計的に有意な差でスコアが高いという結果となった。これは、非常に良い傾向であり、平成25年度新カリキュラムから導入した早期臨床実習体験(アーリーエクスポージャー)がこの結果に好影響を及ぼしたと考えられた。3職業的アイデンティティスコアは、平成24年度在学生より平成25年度在学生の方が全体的に高く、高い値の因子は、平成24年度在学生では全学年共に「社会貢献への志向」が一番高い値で、平成25年度在学生も1・3年生では同じ傾向を示した。しかし、2年生がその例外となり「柔道整復師として必要とされることへの自負」が最も高値となった。平成25年度で2年生だった学生も、1年生次は「社会貢献への志向」が一番高い値であったが、1年間の間で、その志向が低下し、自分の才能や仕事に自信を持つ傾向が強くなっている。この結果は、良い側面もあるが、あまり良くない側面も持ち合わせるため、カリキュラムの見直しや指導者の検討をすべきとの結果を得ることができた。であると思う。本研究の調査時期である平成25年度は1年生のみが新カリキュラム適応学年で、平成24年度学生は全学年旧カリキュラム適応である。(図9)1年生次2年生次3年生次4年生次新旧カリキュラムにおける実習の内容新カリキュラム(H25)・早期臨床実習体験(アーリーエクスポージャー)・大阪マラソン実習・解剖見学実習・大阪マラソン実習・臨床実習・大阪学会発表研究・大阪マラソン実習・信原病院・信原バイオメカニクス研究所宿泊研修図9旧カリキュラム(H24)・大阪マラソン実習・解剖見学実習・大阪マラソン実習・臨床実習・大阪学会発表研究・大阪マラソン実習・関目病院見学(半日)よって、完全に縦断的に比較できるデータとしては不足している。今後の課題としては、完全に縦断的分析が出来る資料を担保して新旧カリキュラムの比較を試みてゆきたいと思う。4職業的アイデンティティスコアで低い値の因子は、平成24年度在学生は、2・3年生で「柔道整復師として必要とされることへの自負」が一番低い結果となり、1年生では「柔道整復師選択への自信」が一番低い結果となった。平成25年度在学生では、1年生では「柔道整復師として必要とされることへの自負」が一番低い結果となり、2年生では「社会貢献への志向」が低い結果に、3年生では「柔道整復師として必要とされることへの自負」が一番低い結果となった。本校のカリキュラムでは、3年生になるとより専門的な分野の授業や実技や実習が増えてくる。このようなことが、自身の専門職としての力量を客観的に知ることができるきっかけになっているのではないかと考える。■結語今まで、柔整教育の内容やその効果を検証した論文については、パブメド上やCiNiiにおいても見当たらず、現場でも、教員の経験や持論を頼りに論じられる場合が多かった。確かにそれも大切な要素ではあるが、その結果や効果の検証を、数値的に統計的に根拠をもって分析することは、誤った認識や偏りを減らす上では大切なこと■参考文献1)鑪幹八郎:アイデンティティの心理学.講談社,1990,pp.72-812)大橋ゆかり,吉野貴子他:臨床実習教育が学生の職業的アイデンティティ形成に及ぼす効果.理学療法学第33巻第6号,2006.3)藤井恭子,本多陽子他:医療系学生における職業的モデル特性が持つ特性.茨城県立医療大学紀要9;1-7 ,2004.4)藤井恭子,野々村典子他:医療系学生における職業的アイデンティティの分析.茨城県立医療大学紀要7;131-1417 ,2002.5)バーバラM.ニューマン、フィリップR,ニューマン:新版生涯発達心理学-エリクソンによる人間の一生とその可能性.福富護(訳),川島書店,1988,pp.318-341.6)E.Hエリクソン:アイデンティティ-青年と危機-,岩瀬庸理(訳),金沢文庫,1973.7)岩村貞夫,謝承泰他:よくわかる医学・歯学・薬学のための統計解析.東京図書,2001,pp.92-109.13