ブックタイトル第8回 大阪学術大会論文集
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第8回 大阪学術大会論文集
早期臨床実習が柔道整復教育に及ぼす影響~学生の職業的アイデンティティスコアの分析結果から~杉本恵理大阪府柔道整復師会専門学校教務主任■キーワード大阪マラソン学生実習、早期臨床実習体験、職業的モデル特性、職業的アイデンティティの形成度■はじめに青年期のアイデンティティ形成を論じるには、職業の問題はその中核的なものになり先行研究によっても1鑪)は、アイデンティティという言葉の概念について、中核には次の3つの意味が含まれるとした。第1は幼少期から現在までの時間を歩んできた自分の歴史を受け入れ、これから先の展望を考えるといった自己の歴史ないし時間的な一貫性。第2は、他者との交流において他者に呑みこまれず、また自分も他者を支配せず対等の関係を維持する自己同一性の感覚。第3は、自分の職業との関係における調和として、青年期のアイデンティティ形成に職業との関係性を述べている。さらに大橋ら2)の研究により、職業的アイデンティティの形成には自分が目指す理想像を体現している職業的モデルの存在が大きな影響を及ぼすことが明らかにされており、学生が職業上のモデルのどのような特性を重視するかを明らかにするために、職業的モデル特性に関する尺度を開発している。医学部教育や看護教育、理学療法教育等の各医療系教育分野では、その授業内容や教育方法についての検証や実習体制を比較検証した論文が散見されるものの、柔道整復教育について根拠を提示したものや、また検証や分析を行ったものは、先行研究を調べてもあまり見当たらない。そこで、昨年発表した自身の研究では、学生が職業的アイデンティティをどのように感じているかを明らかにするため、藤井ら3)が開発した職業的アイデンティティの主観的側面を測定するための尺度を使用し、本校学生の1年生から3年生が実習を行う、大阪マラソンランナーサービス補助実習後を機会に、実習が学生にどのような影響を与えるか、実習で大切な要素は何かなど、数値的根拠を提示した上で検討することを試みた。結果、現場実習教育が学生の教育にはやはり重要で、その実習先としてどこを選択するのか、さらに実習先の指導者がどのような人物であるのかも欠かせない要素であるという根拠が実証できた。そこで今年度の研究では、その尺度を利用して、職業的アイデンティティスコアの縦断的分析、職業的モデル特性の分析、横断分析を行い、その結果から平成25年度4月から導入した新カリキュラムが、学生の職業的アイデンティティスコアにどのような影響を与えたかを検討することを目的に、旧カリキュラム適応学生と新カリキュラム適応学生との職業的アイデンティティスコアと比較検討することにした。■方法◆対象平成25年度に大阪府柔道整復師会専門学校に在籍していた学生1年~3年生で平成25年10月26日(日)に行われた大阪マラソンランナーサービス補助実習に参加した学生を対象に、実習終了直後の時期に調査を行った。1年生10名、2年生9名、3年生16名の合計35名から回答が得られた。◆調査内容本研究では、藤井ら3)4)が報告した2つの尺度を使用し質問紙を本校用に改変し調査を行った。まず職業的アイデンティティに関する質問紙(表1)では、各質問項目に対して「非常に当てはまる」から「全く当てはまらない」までを7段階評定で回答を求めた。次に“実習中に職業的モデルとの出会いがあったか否か”を問う項目を挿入し、“職業的モデルに出会った”と回答した学生のみに職業的モデル特性の質問紙(表2)にて各項目に対して「非常に当てはまる」から「全く当てはまらない」までを5段階評定で回答を求めた。07